ご挨拶


ベリタスパートナーズ椛纒\取締役社長
坪井萬義

関係先の皆様へ


オミクロン株の出現でコロナ禍収束に暗雲が立ち込める中、2022年のスタートを迎えることになりましたが、アジアグローバルコンサルティング会社
「ベリタス・パートナーズ(株)」を代表致しまして、新年にあたり恒例の事業環境及び事業運営などに関する所見を申し述べます。

(1)  世界は「不確実性」の様相を呈し、企業及び個々人は「生き残りのための活路」を自ら模索することになるでしょう。
(2)  我々を取り巻くビジネスや社会生活においては、「従来と異なる新たなニーズ」が「従来型ニーズ」と置き換わり、
   その中で我々は「過去の慣習やスタイル」にとらわれず、「新しい環境に則した変革」に皆で取り組まなければならないでしょう。

ところで、上記変革とそれへの対応は、一昨年3月以降コロナ感染症パンデミックにより、我々に突然突きつけられたものと思われがちですが、
個人的には20年以上前からあるいはもっと前から、「環境変化に対する変革」が我々に求められていたと思います。

例をあげれば限がありませんが、コロナ禍におけるワクチン不足で国民のワクチン接種に大幅な遅れをもたらした「自国ワクチン開発への取組不足」、
各自治体のワクチン接種手続きや政府のコロナ支援手続きの遅れで非難を浴びた「IT化・デジタル化への取組不足」、
世界的半導体不足で致命的な調達不足を露呈した日本の30年にわたる「半導体事業への取組不足」等々。

加えて「労働生産性向上への取組不足」も長年続いており、現在日本の労働生産性は米国の6割、OECD加盟38ケ国中23位、G7では最下位です。
そのつけは重要な経済指標である「名目GDPの伸び率」と「賃金上昇率」で世界主要国に大きく差を付けられることとなり、
今やかつてGDP世界第2位の経済大国であった面影もみられません。

因みに最近30年間のGDP伸び率を主要国と比較しますと、中国53倍、韓国10倍弱、米国・英国各々3.5倍前後に対し
日本はほとんど横ばいの1.2倍。これが失われた30年と言われる所以です。
それから最近話題になっている日本の平均賃金の異常な低さですが、その伸びは20年間でわずか1万円、即ち日本の賃金は20年間据え置かれたままであり、
2015年には韓国に抜かれ、今や米国の半分強、G7でイタリアと抜きつ抜かれつの最下位争いを展開中です。こんな日本に誰がしたのでしょうか。

そこで問題提起です。今後とも働き手が低賃金を強いられるとしたならば、
コロナ収束後にアセアン諸国、アジア諸国から労働者は従来のように日本には来てくれないでしょう。
その理由は、気がつけば日本以外で賃金の高くなった魅力的な市場がどんどん増えているからです。
少なくとも技術・ノウハウ・高学歴の人は日本で働くインセンティブが今の給与水準では全くないでしょう。

今後の対策ですが、言わずもがなの提言にはなりますが、日本企業は目先の利益確保のために「とりあえず低賃金踏襲」という「従来型思考」を即刻止めて、
外国人を含めた人材確保・労働力確保のためにも、「高賃金・高リターン」という「未来志向型思考」に切り替えるべきではないでしょうか。

個人的体験から申し上げれば、海外企業、海外人材と触れあう機会が多ければ多いほど、「失われた30年の日本スタンダード」から脱却し、
先進国企業・人材と対抗できる「先進国スタンダード」を身につけられるかと思います。

私がこの20年間、主戦場としてきたアセアン諸国はこのところ随分と実力をつけています。
従来日本企業・日本人材を師と仰いできたアセアン諸国の人達も旧態依然とした経営体質、ビジネス感覚の日本企業・日本人材がもし身近にいたならば、
もはや師と仰ぐことはないでしょう。そこにはそのような日本企業・日本人材より優れた中国・韓国などの企業・人材が大挙して乗り込んでいるからです。

しかしながら、日本企業・日本人材はまだまだアセアン諸国において一定の存在感とリスペクトを維持しています。
先輩方が営々と築き上げてきた現地での信頼を我々の世代で失うことは避けなければなりません。

世界において、ここ30年間日本のプレゼンスが低下の一途を辿る中で、日本が戦える海外ビジネス市場はアセアン諸国が最後の砦かもしれません。
また外国人材の受入において今後ますますアセアンへの依存度も高まってくるでしょう。

弊社はアジア全般をカバーしながら、以前は中国、最近はインドネシアを重視し、現地との強いネットワークを構築して、海外進出や人材受入、
ODA申請手続き等、皆様のお手伝いをして参りましたが、この2ケ国に加えてここ2〜3年ベトナムにも注力し現地との交流を深めています。
またその他アセアン諸国や中国、インド、韓国等の事案にも対応しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

それでは、本年が皆様にとりまして良いお年でありますことを祈念して年頭の御挨拶とさせていただきます。

2022年1月吉日